グローバルラボ仙台(GLS)主催のGame開発塾にROG Zephyrus G GA502DUを学生開発者に無償貸与
2019年11月30日仙台市にてグローバルラボ仙台(Global Lab Sendai 略:GLS)主催のGame開発塾が開催されました。Game開発塾は、グローバルラボ仙台(GLS)と仙台市、仙台市アプリコンテストDA・TE・APPS!実行委員会の共催にて開催されている仙台市アプリコンテスト「DA・TE・APPS!2020」の参加チームが一堂に会してアプリ開発を行うイベント。DA・TE・APPS!2020自体は2020年2月24日に開催予定で、それまでの間にアプリの開発、販売を行います。
今年で第六回を迎えるDA・TE・APPS!は、東北最大級のアプリコンテストであり、主催のGLSは仙台市やNTTドコモ東北支社が取り組む官民一体コンソーシアムです。現在、約30社のIT系企業と10校の教育機関が連携し、仙台・東北の産業基盤構築に努めています。仙台市はフィンランドのオウル市と産業振興協定を締結。オウル市はヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれるほどのICT産業・教育に特化しており、仙台市が目指す方向性と合致しています。
今回のDA・TE・APPS!2020は、IT開発部門とGame開発部門の2つの部門を用意。IT開発部門からは東北大学チーム(3チーム)、東北学院大学チーム、山形大学チームの計5チームが参加。Game部門は東北電子専門学校、ヒューマンアカデミー仙台校、東北大学の計3チームにオウル市のチーム(1~2)チーム参加する予定です。
仙台・東北にある大学や専門学校の学生が参加しています。
9月7日にDA・TE・APPS!2020第1回企画オリエンテーションが行われました。IT部門ではそれぞれのチームが企画のプレゼンを行い、メンターの方やGLSの担当者から意見や感想を聞き、ブラシュアップしていきます。DA・TE・APPS!は、実際に役立つアプリ、サービスの提供を目指しており、一般的なアプリコンテストのように、アプリ作成が目的ではありません。したがって、メンターや担当者からの意見は鋭く、まさにプロの意見として、世に出すサービスとして相応しいかを判断します。実際、昨年までの5回までのアプリやサービスは、実用レベルのものばかりです。
メンターからの指導も受けられます。
Game部門も同様で、アプリを完成させるだけでなく、アプリストアに登録し、広告をアプリ利用のKPIで勝敗を決します。計測エリアはインド、ブラジル、ロシア、トルコ、インドネシアとアプリ開発者とは関わりが薄い国が選ばれており、純粋にゲームの面白さとアプリの広報活動にて利用数が決まります。ゲームのジャンルはスーパーカジュアルで、言葉の壁を感じさせないどの国でもわかりやすいシンプルなゲームを目指しますKPI測定は産業振興協定を結んでおり、DA・TE・APPS!2020のGame部門にも参加しているフィンランドのゲーム会社フィンガーソフトが行い、広告の売上げも測定されます。
今後の予定。ゲーム広告の出稿も行い、配信後のKPIを確認し、改善して本番の計測期間に備えます。
まずはGame開発塾のオープニングセレモニーとして、AMD Ryzen7搭載のASUS薄型ノートPC 「ROG Zephyrus G GA502DU」が参加者に手渡されます。第5回DA・TE・APPS!2019からASUS JAPANと日本AMDが協賛しており、アプリ開発に使用するハイスペックPCを無償貸与しているわけです。アプリ開発において、マシンスペックによる作業効率の向上は時間短縮に繋がるだけでなく、開発者のストレスも軽減されるので、DA・TE・APPS!において、ASUS JAPANのマシン貸与は、学生たちにとって何ものにも代えがたい後押しとなっています。
ASUSからノートPCの無償貸与が行われました。
IT部門はどんなサービスを実現させるアプリであるかに関しての企画を練っています。先述した通り、実用的な企画でなくては審査に通らないので、アプリ開発の前段階から高い要求を求められています。企画内容はまだ非公開のため、どういったサービスを企画し、そのサービスをどのようにアプリに転用させるかはまだわかりません。それでもヒントだけでもと訪ねたところ、少しだけ教えていただけました。
参加チームひとつである東北大学大学院の林さん率いるフィッシャーズはDA・TE・APPS!2018、2019と連覇しており、今年は3連覇を狙っている強豪です。「人事評価、HRテックですね。プロダクトと言うよりはUXの設計が大事だと思っています」と林さん。
同じく東北大学の中屋さん率いる中屋さんのWBA-Aは「フードテック系をAIで、CSRで社会貢献を考えています」とのこと。
山形大学の道下さん率いるスヌープは「BtoBtoCのリクルート系です」と回答。
東北学院大学の藤門さん率いるキディは「介護業界の介護事故を減らすことを考えています。ヒヤリハットをどうにかできないか、ですね。工場系とは違うので、どのヒヤリハットに注目するかが重要です」と語っていました。
まだ、全容が見えていないので来年2月に開催されるDA・TE・APPS!2020での結果に期待したいところです。
IT部門に参加しているチームの代表者たち。
Game部門はすでにゲームとしては完成が見えており、今回のGame開発塾にて、最終調整とアプリストアでの紹介文などを考えて行きます。Game開発塾が終了後、アプリストアでの登録をし、1回目の広告を投入します。この後も2回のタイミングで広告を掲載予定で、最後の広告が一番大きく打ち出す予定です。最初の広告を投入した結果をみて、どのようなKPIの動きとなるのかを判断し、最後の本命の広告投入までに調整をしていきます。また、ゲームアプリは基本無料で、広告費でお金を稼ぐシステムですが、この広告の出し方によっては、アプリの継続率が下がるので、そのあたりも考えて行かないとなりません。つまり、ゲームを開発するだけでなく、リリースをし、如何に収益を出すかという一連の流れを学ぶことができるようになっているわけです。また、KPIを測定する国が日本とは違う5か国であるため、それぞれの国へ向けたローカライズもしなくてはなりません。そういった点では、デベロッパーとしての開発だけでなく、パブリッシャーとしてのプロモーションも考慮しなければいけないというわけです。
実際にアプリストアにリリースするので、完成させることが最優先。この時点で未実装の機能は搭載しないと言う判断も必要。
市川さんたちの『ホッピング忍者』。プレイヤーキャラクターの左右をタップすると、その方向上方へジャンプします。障害物を避け、ゴールを目指します。
飯塚さんチームの『ルミナス』。リングを回転させ、ボールを動かし、すべてのカラーボールに触れさせるパズルゲーム。星の取るタイミングが重要です。
飯塚さんチームの『ルミナス』。ボールをプルバックさせ、建物を破壊します。建物を破壊すればするほどボールが大きくなり、大きな建物も破壊できるようになります。
DA・TE・APPS!は、いわゆるゲームジャム的な開発イベントではなく、実際にゲームを開発し、リリースし、それをプロモーションするというゲーム開発のシミュレーションを体験できる機会となっています。もちろん、納期があり、そこに合わせて完成させないといけないので、納期に間に合わなさそうな機能や仕様は導入を諦めなければなりません。とにかく、完成させ、リリースすることが最重要課題です。そして、アプリが世にでる以上、アプリストアに並ぶアプリと比較されます。この経験こそが、仙台、東北をITの街とすることができるのでしょう。
仙台市経済局 産業政策部 産業振興課 成長産業係 主事 岸氏とGLSエグゼクティブプロデュ―サー(NTTドコモ東北支社 法人営業部 ICT街作り担当 佐藤氏によると、DA・TE・APPS!を開始した当初は、仙台にゲーム会社は3社しかありませんでしたが、今では十数社まで増えているそうです。まだまだ受託ビジネスがメインですが、ゆくゆくはオリジナルのゲームをリリースする企業まで育って欲しいと言います。DA・TE・APPS!をきっかけに、IT系の学生が仙台、東北を拠点とするIT企業で活躍する、もしくは東京のIT企業へ就職したとしても仙台で培われた技術によって活躍していることをアピールすることで、全国へ向けたモデルケースになっています。仙台は福岡に次いで起業がしやすい街でも知られています。若きエンジニアが活躍できる土壌として、DA・TE・APPS!が人材育成の要となっているわけです。
仙台市経済局の岸さん。
GLSエグゼクティブプロデュ―サーの佐藤さん。
ともかく、未来を担う学生が作ったアプリがプレゼンされる2月に注目しておきたいところです。特にIT企業は有望な人材を発掘するチャンスでもあるので、東北、仙台に着目すべきですよ。