AI×アダプティブラーニング教材と Chromebook™ で実現させた個別指導/熊本中央高等学校

熊本中央高等学校 は2019年時点で創立116年を迎える熊本市にある 学校法人加寿美学園 が運営する私立高校です。現在の知識基盤社会化やグローバル化に対応できる生徒育成を目指し、「自ら学び、考え、正しい判断に基づき行動できるよう豊かな人間性を身に着けた心身ともに健康な生徒の育成」を教育指針と掲げています。
熊本中央高等学校 教務部 広報・入試実務委員/ICT教育推進室長 森智也氏
また同校は手厚い個別指導にも定評があり、生徒一人ひとりの伸びしろを見極めるために担任は生徒との個別の会話を大切にしています。そして生徒は教員や友人に認められることで自信をつけ、自分だけの挑戦へと道を見つけることが可能になるといいます。
今回は2018年からスタートした生徒の個別学習を目的とした AI×アダプティブラーニング教材「すらら」の操作専用端末として ASUS Chromebook Flip C213NA-N3350 を採用された導入背景について 熊本中央高等学校 教務部 広報・入試実務委員/ICT教育推進室長 森智也氏、同校 教諭 千々岩達也氏にお話を伺いました。
ー 85%以上の生徒が地元の熊本で就職、熊本中央高等学校が担う役割とは
森室長: 本校は「看護学科」「総合ビジネス科」「普通科」の3つの学科から成り立っています。熊本市内で唯一の看護学科では5年一貫教育を行っており、高等学校卒業資格と共に(正)看護師国家試験の受験資格が最短の5年間で取得できます。そして実社会で通用する資格取得を目標とする「総合ビジネス科」、特進コース・芸術創造コース・福祉リビングコース・総合探求コースの4つのコースから自分にあったコースが選択できる「普通科」があります。
「普通科」で特色のあるコースを設置している理由としては、本校に通う約85%以上の生徒が地元の熊本で就職し、熊本での生活を希望する生徒が多いため、この地域の実社会で通用するスキルを特化型のコースを通じて学んでもらいたいというのが目的です。
熊本中央高等学校 教諭 千々岩達也氏(中央)
森室長: 本校では放課後、生徒に対して個別指導を行うことに力をいれていますが、日々の授業の中でICTを活用した個別学習の取り組みも開始しました。それが「すらら」です。「すらら」を学んでいる生徒は1年の共通コースの生徒全員と2年生の「普通科」総合探求コースを選択した生徒になります。なお「普通科」特進コースの生徒は別カリキュラムの個別学習を行っています。
「すらら」は小・中・高校の国・数・英3科目を無学年式で学習できる AI × アダプティブラーニング教材です。「レクチャー(わかる)」「ドリル(できる)」「テスト(使える)」をワンストップで実現するコンテンツと、160校における立ち上げ・導入コンサルテーション、運用フォローにより、学校課題を解決できるICT教に材として成績向上、家庭学習習慣の確立に効果を発揮し、160校(2019年9月時点)の私立中高で活用されています。
ー「すらら」専用端末として Chromebook を採用した背景とは
森室長: 「すらら」導入当初はPC教室に設置している Windows パソコンを利用していたのですが、この Windows パソコンは総合ビジネス科の生徒が主に授業で利用していましたし、放課後でもビジネス検定のための演習で利用する生徒がいます。「すらら」の利用が始まったことでPC教室の稼働率自体はあがったものの、利用を希望する生徒一人あたりの利用可能枠が制限されてしまっていた現状がありました。
生徒が自由に「すらら」を用いて自主的に個別学習ができる環境を整えるためには「すらら」のみを操作する端末を別途準備する必要性があると感じていました。これらの背景から「すらら」操作端末として ASUS Chromebook Flip C213NA-N3350 を採用し、熊本県で初の ICT教育を目的とした Chromebook 導入を実現する運びになりました。
Chromebook は本校でも初めて導入する機器ですし、 Chrome OS自体にまだ私自身も馴染みがありませんでしたが、今、全国の教育機関で Chromebook を採用する傾向が増加しているとも耳にしていましたし、他の「すらら」導入校さんでも同様に Chromebook を採用しているケースが増え始めた、と すららネット さんから助言もいただいたため、本校でもチャレンジすることにしました。
AI × アダプティブラーニング教材「すらら」
森室長:「すらら」の数学科目を行うときにはタッチパネルが非常に便利です。当初はiPadなどのタブレット型端末を検討していましたが、大学の入試改革に伴って試験にCBT方式が採用される可能性も視野にいれていましたし、キーボードを打つ速さも学習能力の一つとして捉えられるのではないか。そういった観点で採用しておくべき端末は将来を見据えてキーボード付である必要があると判断し、Chromebook を採用しました。また「すらら」がマルチOSに対応しているため、Windows OSや iOSにこだわる必要がなかったということも Chromebook に決めることができた理由の一つです。
なおパソコン自体を初めて触る生徒も多かったため、キーボードの打ち方やタッチパネルの操作方法などを教えることに時間を要することもありましたが、機器操作に対する生徒の理解度は高く、1学期の終わり頃には大体の操作は行うことができるようになっていました。
森室長: Chromebook を学校内で利用する際には Google が提供している G Suite for Education や、Classroom などを使用するケースが多いのかもしれませんが、本校においては元々のきっかけが「すらら」 による個別学習です。G Suite for Education などはまだ利用していませんが、将来的には Chromebook の活用の幅を広げるという観点でこれらの Google サービスは利用していきたいとは思っています。
ー KIOSK端末的な形で利用する Chromebook
森室長: Chromebook は「すらら」を行うための専用端末として利用しています。生徒は「すらら」の授業の時間になると設置場所である図書館へ移動し、保管庫から Chromebook を取り出し、各自で「すらら」を開始します。各教室で「すらら」の授業を行ってもよかったのですが、生徒が教室から図書館に移動することで、今から「すらら」で勉強するんだという気持ちの切り替えがしやすくなるのではと考えていました。そもそも図書館は静かなので、生徒も集中できるという効果もありました。
なお Chromebook の使用場所を図書館に限定したことによって、都度、タブレットカートに収納した Chromebook を教室間で移動させる手間も省けましたし、施錠もできるため機器保管のセキュリティ的にも安心でした。
千々岩教諭: 学校指定の Google アカウントでログインすると、学校が指定したページしか表示されない形で Chrome ブラウザが開きますので、その Chrome ブラウザ上で「すらら」を選んで学習をするというシンプルな設定だけをしています。それ以外の設定制限はしてないため、他のサイトを検索して閲覧することも可能です。しかし生徒のマナーも合わせて指導することで、正しい使い方を身に付けています。
ー 生徒にとっての Chromebook 採用のメリット
千々岩教諭: 普段の生徒の利用風景をみている限りでは以下のような感じです。
・Chromebook の起動はとても早いので「すらら」のすぐに開始できます
・CBT対策を視野にいれたキーボード操作への慣れを向上させます
・タッチパネルの利便性が生徒の学習効率を上げることができます
・2in1 Flip で液晶が回転するので、自由なスタイルで生徒が端末を扱うことができます
・Chrome ブラウザは画面表示がとてもスムーズでブラウジングがとても快適です

ー 芽生え始めている生徒の学びに対する主体性
千々岩教諭: 生徒の変化として、各個人ごとに与えられた課題に対して、前向きに取り組む姿勢と課題が終了した生徒から「先生、次は何をやればいいですか?」などの意見が頻繁にあがるようになってきました。個別学習の成果としてやる気のある子たちが芽を出し始めたというか、とてもいい環境になってきたなというのは感じています。
生徒は「すらら」と Chromebook を 扱い慣れてきたことで学習がスムーズに。また苦手な分野を自分自身で発見し、問題を解答するために自主的な学習ができるようにもなっています。
森室長: 「すらら」の学習による成果も出始めています。熊本県では毎年4月には「新入生一斉テスト」、12月には「県下一斉テスト」が行われておりますが、「すらら」を学習している生徒は学習していない生徒に比べて平均点が高いという結果になりました。
森室長: 1年生の数学・英語ともに「すらら」学習者と非学習者の間には平均点に差がみられ、数学の「すらら」非学習者の平均点は1.1点下がっている一方、学習者の平均点は10.6点と大幅に上昇しました。英語においても「すらら」非学習者の平均点は2.1点上昇していますが、学習者の平均点は3.7点と非学習者の上昇を上回っています。
「すらら」と Chromebook の活用はもちろんのことですが、教員同士が定期的に生徒の「すらら」学習の振り返りの場を持ち、課題の未終了生徒への声掛けや取り組みの良い生徒を褒め、学習意欲を向上させながら「すらら」学習に取り組ませていることが成果につながっています。

ー 熊本中央高等学校における ” ICT教育” とは
千々岩教諭: 座学の部分とICT教育の部分を使い分けができたらと考えています。私自身はやはり学習における座学の時間はまだまだ重要だと思いますし、まずは座学で生徒の理解を促し、ICTを利用して問題演習を繰り返し行うことで、知識の定着を図ります。そしてその過程を教員がしっかり見届け、教員が生徒に個別にアドバイスを行うといったイメージを抱いています。ICT教育はあらゆる可能性を秘めていますので、さらに工夫を行いながら日々の授業に取り入れられたらと思っています。
森室長: 生徒一人ひとりに個別対応できるような校内の体制や仕組みをこれらのICTツールを用いながら、より効率的にかつ効果的に実施できたらと考えています。座学とICTを融合し、さらに個別指導がモットーの熊本中央の特徴を高めていきたいですね。
(Posted by Shinji Suzuki)
・Google, G Suite for Education および Chromebook は Google Inc. の登録商標または商標です。

◆お客様プロフィール
学校名:熊本中央高等学校
住所:熊本県熊本市中央区内坪井町4−8
業種:高等教育